「仕事が多すぎるよ‼」と嘆かずに、ちょっとスケジュール見直しませんか?(優先順位その1)
皆さん、こんにちは
前回のコラムでお約束した通り、今回からスケジュールのお話です。
と言ってもいきなり、「スケジュールの組み方」なんて、やりません。
先ずは「優先順位」です。
今回はその入り口編です。
ちょっと例をお話しましょう。
以前私が企業に勤めていた頃、新規事業の立ち上げを責任者として担当したことがあります。
立ち上げまでの納期は極めて短く、通常業務もこなさななければならない状況でした。
マネジャーでしたから、チームメンバーのマネージメントを含めて毎日遅くまで仕事をすることになってしまいました。
そのような、状況が1か月、2か月と続くうちに、チームメンバー間の仕事の進捗にひどくばらつきが出てきました。
そうなると、全体の進捗が滞ってしまいますので、やむなく、私が中でも最も遅れているメンバーの支援に入るという状況になりました。
その時、まあ本人も嫌だったのでしょう、「仕事多すぎますよ‼」という言葉が出たんです。
まあ、そう思うのも無理はない。
彼は、進捗は一番遅れているのに、メンバーの中で一番長時間働いていたのですから。
しかし、各メンバーの業務は、通常業務も含めて、負荷が均等になるように、予め配分していましたから、私は「配分のアンバランスではないだろう」と予測はついていました。
で、彼の仕事ぶりをサポートに入りながら、観察し始めました。
朝席に着くや否や、何やら一生懸命パソコンに向かって、資料を作っています。あちこち電話して情報を聞きこむ時間も長く、結局午前中一杯かかって仕上げて、メール送信しています。呼んで「何の資料作ってたの?」と聞くと「○○部の○○課長に頼まれて○○商品の日本の府県別、出荷、販売実績とシェアをまとめたんです。」
私「それうちの仕事じゃないじゃない。」
彼「でも、担当部署もありませんし、一部のデータはうちにありますし、それにずいぶん前に頼まれていて、ずっと放っておいたので、煽られちゃって」
と言っているところに、彼に電話「あ、すぐ行きます」と急いで席を立つ彼に「どこへ行くの?」と聞くと「打ち合わせです。」でいなくなって、2時間後に帰席、もう16:00を回っています。
私「何の打ち合わせだったの?」、彼「○○君から、業務の相談を受けてアドバイスです。」、私「それ、前の部署の仕事でしょ。」
彼「でも一番、私がその業務内容に詳しいのでどうしてもと泣きつかれて」、私「もう1年以上たってまだそんなことやっているの?」
彼「どこの部署だって、業務で困っていれば助けるべきでしょ。」すっかりむくれてます。
そのまま席に戻って、次の作業、たまたまPCの画面が見えて、愕然‼、私「それ何作ってるの?」彼「今度のプロジェクト進捗会議の招請状です。」私「もう5日しかないよ。」彼「だって忙しかったんですから、だから、仕事多すぎるんです‼」
そこからどうしたか…私が招請先に全て電話連絡して、平謝りして何とか必要参加者のスケジュールを確保しました。
チェックしていなかった私のミスでもありますから。
彼も申し訳ないと感じたようですが、私「今朝の資料、午後の打ち合わせ、会議招請、重要なのはどれ?」、彼「どれも重要です。」
私「理由は」彼「資料は1か月前に頼まれて引き受けて先方の期限ぎりぎりになっていましたし、打ち合わせも3か月前に彼の上司からも仕事が回らない指導を頼むと言われて引き受けました。会議招請はもちろん重要です。」
私「未だ、期限ぎりぎりの仕掛を抱えているな?」
彼(うつむいて)「はい、正直もう仕事が回らなくなってきています。」
ここまで読んで「うちの会社にはそんな仕事の判断できない奴いないよ」って思ってません?
あるいは、「いるいるそんなとぼけた奴」と身近の誰かを思い浮かべている人もいるかもしれません。
で、「だから仕事の優先順位をつけましょう‼ということなんじゃないの?」なんて結論読めたと思っていませんか?
甘い甘い‼、優先順位は必要ですが、ここではそんな結論にいきなり行きませんよ。
少し考えてみてください。
彼は、3つとも仕事引き受けているんです。しかも、何か月も前に仕事を引き受けた以上、仕上げなければなりません。
これは、会社人の原則ですね。
あなたも他部署のマネージャー特に元上司あたりに「急がないので、時間がある時でいいから、こんなデータ作ってくれない?おたくにデーターあるし、貴方は優秀だからできるでしょ?頼むよ。」なんて言われて、引き受けちゃた仕事、「君にしか言えないけれど、君の替わりに来た彼がまじめなんだけど、仕事できなくって困ってるんだ。困った時に相談させるから指導してくれないか?全く君みたいな優秀な人材出すんじゃなかったよ。」なんて言われて、引き受けたアドバイス仕事ありませんか?
正直、私は経験あります。
もちろん、その時に、仕事がパンパンに詰まっていれば、断りますよね。
でもその時点では、それぐらい受けてもこなせる余裕があると考えたから引き受けたんですよね。
でも、その後で、仕事が忙しくなって、結局引き受けた以上無理をして対応した。
という経験、誰でもあるんじゃないですか?
これも、私にも経験あります。
私のメンバーの彼は新規事業立ち上げというプロジェクトが乗ったことで、これまで引き受けた仕事もやらねばならず、ギブアップ寸前だったということです。
さて、彼を救う方法は?、もちろん「優先順位」にあるのですが、「プロジェクト優先だから、他の仕事は全部謝って断る」ですか?
通常業務をやりながらという部分も削るのですか?
それでは、本来の私の部署のルールに反します。
「通常業務と異なる業務は今から断って、今後は通常業務とプロジェクトだけにする」なるほど、では全員の業務を棚下さなければなりません。
たまたま彼が、最も遅れていたからチェックしましたが、他にも遅れているメンバーはいますし、遅れていなくてもそのルールにするのならば、やはり、それが必要です。しかし、棚卸をしても、再発防止にはなりませんね。
「優先順位」を付けて仕事をするというのは、企業や企業の組織にとって当たり前と思われがちですが、ところが、このように、そのためにはそれが誰にでもでき、後戻りしなくなるルールとツールが実は必要なんです。
今回のコラムは長くなりました。このあたりで、次回にまた、続きをお話ししましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは次回をお楽しみに‼
業績改革メソッドラボ
代表 山﨑智之
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